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空室対策は家賃を下げる前に|入居率99%の現場でやっていた4つの順番

本記事にはプロモーションを含みます

空室が埋まらないとき、家賃を下げるのは最後で大丈夫です。
その前に試したいのが、次の4つです。
「仲介業者に覚えてもらう」「写真で選ばれる広告にする」「初期費用を下げる」「効く設備を入れる」。
これを、だいたい1か月ごとに順番に試します。
賃貸管理で入居率99%を続けていた頃に、私が実際にやっていた方法です。

この記事を書いている私は、不動産業界で19年、賃貸管理と仲介の現場にいました。
宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士の資格を持っています。
詳しい経歴は運営者情報をご覧ください。

総務省の「令和5年住宅・土地統計調査」によると、全国の空き家は900万2千戸です。
空き家率は13.8%で、どちらも過去最多・過去最高でした。
共同住宅に限ると、空き家の78.5%が賃貸用です。
入居者が部屋を選べる時代だからこそ、打ち手の順番が大事になります。


目次

家賃を下げる前に、まず仲介業者に「覚えてもらう」

最初にやるべきことは、仲介業者に物件を知ってもらい、紹介してもらうことです。
入居希望者を連れてきて、最後に「この部屋がいいですよ」と勧めるのは仲介業者のスタッフだからです。

入居率99%の現場では、週1回・5社ほどを回っていた

賃貸管理の頃も、仲介店舗にいた頃も、物件の周辺にある仲介業者を一通り回っていました。
仲介にいた頃は、管理の担当者と協力して回っていました。
エリアにもよりますが、1つの物件でだいたい5社ほどです。
できるだけ週1回は顔を出せるよう努力していました。

仲介業者のスタッフは、毎日たくさんの物件を扱っています。
お客さんに勧めるのは、どうしても頭に浮かんだ物件からになります。
顔を出して状況を伝えることで、「あの物件、まだ空いていたな」と思い出してもらえるのです。

持っていくのは「物件資料・空室一覧・キャンペーン情報」の3つ

訪問するときは、手ぶらでは行きませんでした。
毎回持っていったのは次の3つです。

持っていくもの目的
物件資料間取り・設備・写真をすぐに見せられるようにする
空室一覧どの部屋が空いていて、いつから入れるかを伝える
キャンペーン情報礼金の値下げやフリーレント(入居後の一定期間、家賃を無料にすること)など、今だけの条件を伝える

特にキャンペーン情報は、仲介業者がお客さんに話を切り出すきっかけになります。
条件が変わったら、その週のうちに伝えに行っていました。

退去が決まったら、すぐに募集を始めてもらう

退去の連絡が入ったら、その時点で募集を始めてもらっていました。
部屋が空いてから募集を始めると、そのぶん空室の期間が長くなるからです。

仲介の現場にいた頃も、問い合わせを増やす2本柱は「早めの募集」と「良い写真」でした。
写真については、次の章で詳しく書きます。

管理会社に任せている大家さんは「業者回りをしているか」を聞いてみる

管理会社に任せている場合、大家さんが自分で回る必要はありません。
ただ、管理会社に次のように聞いてみるだけでも違います。

  • 周辺の仲介業者に、物件資料を回していますか
  • どのくらいの頻度で、何社に声をかけていますか
  • キャンペーンを始めたら、仲介業者に伝えてもらえますか

なお、私が管理や仲介の現場で業者回りをしていたのは、2007〜2020年ごろです。
今は仲介業者もポータルサイトで物件を探す比重が大きく、当時ほどの訪問頻度は必要ないかもしれません。
それでも、人に覚えてもらえる物件が強いのは今も変わらないと私は考えています。


写真だけで内見できる広告にする

広告の写真は、物件の第一印象そのものです。
写真だけで部屋の良さが伝われば、問い合わせが増えます。
内見(部屋の見学)の前から、入居を考えてもらえるようになります。

仲介店舗にいた頃、私は写真の撮り方にかなりこだわっていました。

撮り方の4つのコツ

コツやり方
広角で撮る部屋の広さが伝わるよう、広角レンズやスマホの広角モードで撮る
明るくする昼間でも照明はすべてつけて、部屋を明るく見せる
縦のラインをまっすぐに柱や壁の線が斜めにならないよう、カメラを水平に構える
分譲マンションのチラシをイメージする「住んでみたい」と思える見せ方を意識する

分譲マンションのチラシは、プロが部屋をよく見せるために撮った写真の見本です。
賃貸の写真でも、あのイメージで撮るだけで印象がかなり変わります。

玄関から順番に並べて「写真で部屋を歩ける」ようにする

撮った写真は、玄関から入って奥へ進む順番に並べていました。
写真を順に見ていくと、実際に部屋を歩いているように感じられるからです。

私はこの並べ方で、パソコンの画面上だけで物件の説明ができるようにしていました。
案内に行かなくても、写真だけで営業できる状態をつくるイメージです。

写真の撮り直しは、大家さんから頼んでもいい

ポータルサイトに載っている自分の物件の写真を、一度見てみてください。
暗い、枚数が少ない、順番がばらばらといった場合は、管理会社に撮り直しを頼んでもいいと思います。
家賃を下げるのと違って、収入を減らさずにできる対策です。


次の一手は広告料とフリーレント ─ 家賃より先に使う理由

業者回りと写真で1か月ほど様子を見て、それでも決まらないとき。
私は家賃より先に、広告料とフリーレントを使っていました。
礼金を下げるキャンペーンも、この段階で使います。

家賃を下げると、毎月の収入と売却価格に響く

フリーレントや礼金の値下げは、一度きりの費用です。
一方、家賃を下げると、その入居者が住んでいる間ずっと収入が減ります。

たとえば家賃5万円の部屋で考えてみます。

打ち手収入が減る額
フリーレント1か月5万円(一度だけ)
家賃を3,000円下げる1年で3万6,000円、4年住めば14万4,000円

さらに、収益物件の価格は一般に家賃収入をもとに計算されます。
そのため、家賃を下げると売るときの価格にも響きます。
同じ建物の入居者との間で、家賃の差に不公平感が出ることもあります。

フリーレントと礼金の値下げで、入居者の初期費用を下げる

引っ越しには、敷金・礼金・仲介手数料など、まとまった初期費用がかかります。
フリーレントや礼金の値下げは、この入口の負担を軽くする方法です。
家賃はそのままで、入居を決めるハードルだけを下げられます。

広告料を使うなら、何の広告費なのかを事前に確認する

賃貸の現場では「広告料」という言葉がよく使われます。
私も空室が続く部屋で使っていましたが、大家さんに知っておいてほしい決まりがあります。

宅建業者が受け取れる仲介手数料には上限があります(宅地建物取引業法第46条、報酬告示)。
居住用の部屋の賃貸では、貸主と借主の双方から受け取る合計で、家賃1か月分に消費税を加えた額までです。

報酬告示は、その例外として「依頼者の依頼によって行う広告の料金」を認めています。
ただし判例では、受け取れる場合がかなり限られています(東京高裁 昭和57年9月28日判決)。
大手新聞への広告のように手数料では賄えない特別な広告で、費用負担を事前に承諾した場合です。
特別な広告をしていないのに、通常の募集の費用を「広告料」として上乗せするのは宅建業法違反だ、という見解もあります。

そのため、広告料を払う場合は、次の点を事前に書面で確認しておくと安心です。

  • 何の広告に使うのか(どの媒体に、どんな広告を出すのか)
  • 金額はいくらか
  • 大家さんが依頼し、費用を負担することに同意していること

迷ったときは、管理会社に「この広告料は何の広告の費用ですか」と聞いてみてください。


設備投資するなら何から? 現場で効いた3つ

設備で一番効果があったのはインターネット無料(以下、ネット無料)です。
温水洗浄便座はもう最低条件で、古い物件ならエアコンを新品にするのも効きました。

一番効いたのはインターネット無料

私の経験では、成約が早くなった設備の筆頭がネット無料でした。

業界紙の全国賃貸住宅新聞が毎年まとめている「入居者に人気の設備ランキング」でも、ネット関連の設備は上位の常連です。
2025年版では「この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まる」設備を調べています。
その単身者向けの1位が「高速インターネット(1Gbps以上)無料」でした。
2026年版も公開されていますが、有料記事のため、ここでは2025年版を紹介しています。

温水洗浄便座は、もう「あって当たり前」

温水洗浄便座は、付いていないと決まりにくい設備でした。
そのため、私が担当していた物件では、ほとんどの部屋に付けていました。
入居者にとっては差をつける設備ではなく、「ないと選ばれない」設備だと考えてください。

古い物件は、エアコンを新品に

築年数がたった物件では、エアコンを新品に交換すると効果がありました。
古いエアコンは、内見のときに意外と目に入るものです。

全国賃貸住宅新聞の2025年版でも、「この設備がなければ入居が決まらない」設備の1位はエアコンでした。
単身者向け・ファミリー向けのどちらでも1位です。

設備に投資する大家さんの物件は、業者も勧めやすい

管理と仲介の両方を経験して感じたことがあります。
設備に投資してくれる大家さんの物件は、仲介業者も勧めやすく、成約も早かったのです。
業者回りで「設備を新しくしました」と伝えられるのも強みになります。

設備の工事費は、業者によって差が出ることがあります。
いくつかの会社から見積もりを取って比べると、費用の目安がつかみやすくなります。


それでも埋まらないときは? 立地の見極めと値下げの判断

ここまで手を尽くしても埋まらないなら、原因は立地の可能性が高いです。
そのときは、家賃を下げることも正しい判断です。

だいたい1か月ごとに次の手へ進む

私は、ひとつの手を打ったら、だいたい1か月ほど様子を見てから次の手に進んでいました。
物件や時期によって変わるので、あくまで目安です。

順番打ち手次に進む目安
1業者回り・早めの募集・写真の見直し約1か月
2広告料・フリーレント・礼金の値下げ約1か月
3設備(ネット無料・温水洗浄便座・エアコンなど)約1か月
4家賃の値下げ―

手を尽くしても埋まらない原因は、ほとんどが立地だった

正直に書くと、物件で一番大事なのは立地です。
私の経験でも、ここまでやって埋まらなかった部屋の原因は、だいたい立地でした。

間取りや設備は工夫で変えられますが、立地だけは変えられません。
工夫で埋められる部分と、立地で決まってしまう部分を分けて考えることが大切です。

値下げは、順番を守ったうえでの最後の判断

立地が原因で埋まらない部屋は、最後は大家さんと相談して家賃を下げてもらっていました。
値下げは「やってはいけないこと」ではありません。
打てる手を順番に試したうえでなら、空室のまま待つより早く収入を取り戻せる判断になりえます。

最初から値下げを勧める管理会社なら、見直しも考える

一方で、業者回りも写真の見直しもないまま、最初に値下げを提案してくる管理会社もあります。
その場合は、管理会社そのものを見直すタイミングかもしれません。

管理会社の良し悪しは、結局は担当者という「人」で決まると私は考えています。
面談では、担当者の経験と、一人で担当している物件の数を聞いてみてください。
担当する物件が多すぎると、一つひとつの空室まで手が回らないことがあります。


まとめ:家賃を下げるのは最後でいい

空室対策は、打ち手の順番が大事です。

  1. 仲介業者に覚えてもらう(週1回・5社ほど、資料を持って回る)
  2. 写真だけで内見できる広告にする(玄関から順番に並べる)
  3. 広告料・フリーレント・礼金の値下げで、入居のハードルを下げる
  4. 効く設備を入れる(ネット無料・温水洗浄便座・エアコン)

それぞれ1か月ほど様子を見て、それでも埋まらなければ家賃の値下げを考えます。
家賃を下げるのは最後でいい。ただ、立地だけは変えられないので、そこは正直に見極めてください。


出典

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